★編集発行人は本づくりのプロ 社長が決算申告してわかったこと③

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■無料の電子出版時代になぜ「編集者」か

自費出版の場合、少しでも安く作ろうとすればこの過程が抜け落ちる。
ブログを簡単に本に、あるいは電子書籍なら「無料で作る」というサイトもある。
AmazonのKindle本の一部もそのようにつくられる。
プロ、アマを問わず、つくる技術があれば費用ゼロで電本ができ、
売り場のラインナップの一つになる。

 

いかにもアメリカ的で、公平で小気味よい。
力があれば残り、そうでなければ消えていくだけなのだから。
ケチのつけようがないのだが、果たして日本ではなじむのだろうか。
この方式なら「編集者」なぞ入り込む余地がない。
私が長々書いた編集者の存在価値など木端微塵だ。

 

日本の出版文化もそういう方向に向かっていくのだろうか。
作品に自信があり、腕試ししたい人は挑戦してみればいい。

 

一方私は、あくまで出版に「編集」という要素は必要だと考えている。
多くの書き手は今なお、担当編集者の目を頼りにしている。
プロの書き手でさえそうなのだ。
というより、プロだからこそ編集者を必要とする
自分一人で作品の質を担保することは難しい、ということを知っているから。

 

■本には品位があるべきだ

自費出版の本について、もう少しお話しておきたい。
基本的に私は、商業出版と自費出版の違いは
売れるか売れないかの(出版社側の)見極めだけだと思っている。
商業出版だから価値があり、自費出版だから価値が劣るとは考えない。
それどころか、自費出版でなければ世に出ない貴重な本もある。
郷土史など、興味をもつ人が限られている本などだ。

 

本としての価値に違いはないが、“好き勝手本”は困る。
Kindle本で一部触れたが、有料の書籍の場合でも
「自分が金を出すのだから好きにさせろ」というわけにはいかない。
費用さえ払ってもらえばお好きなように、そんな会社がないではないが、
本にする価値があるかどうかは、やはり見極めるべきだと思う。

 

「本にする価値」などという言い方をすると、
なんて傲慢なやつだ!、と思われたかもしれない。
文章のうまいへたを言っているのではない。
内容だ。
生涯の一冊、わが人生を語るもの、趣味の探求、作品集、家族に語りおくもの、
創業の精神、開発苦闘物語、夫婦の来し方、未来への宣言・・・・
みなすばらしいテーマだと思う、大歓迎だ。

 

しかし、自己顕示だけの本はつまらない。
人への誹謗中傷、世の中への不満、不運への恨み、
人をだまして儲けるための本・・・・
そんなものは願い下げだ。

 

本をつくるには一定のお金が掛かる。
といっても莫大に掛かるというものでもない。
だから、カネにあかしてつくろうと思えばつくれてしまう。
編集発行人として、そんな本にはかかわりたくないのだ。

 

本には品位がある
ただ売れればいいという商品ではない。
電本(電子書籍)も同じだ。
電本館がつくる電本は紙の本とまったく同じ手間をかけてつくる。
だから著者の価値を下げる本はつくらない。
それが出版社の沽券というものである。

 

■   ■

決算処理を自分で行ったことで、税理士の仕事の価値を見い出した。
同時にその気づきは「プロ意識」という意味で自分自身、
編集発行人としての誇りを思い出させてくれた。本を創るのは私の使命であり、仕事の中心だ。
よい本をつくり続けていきたい。

 

ジャーナリスト石川秀樹電本館あるじ)>

 

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