★お客様を鷲づかみにした礼状、それは”名文”ではなかった!!

思いを込めた一文
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■「さて」の置き所に苦慮

リライトした文章と読み比べてください。文意がわかりやすくなったでしょう?
長文を何とかできたので、もうひとつの問題「手紙文形式」を考えてみます。

 

私がもっとも悩んだのは原文5行目にあった「さて」の使い方です。
「さて」は通常、話やテーマが変わる節目で使われます。
手紙の場合も同様で、時候の挨拶の直後に「さて」を入れたり、
時候のあいさつとお礼を一気に申し述べ、本題に入る前に「さて」を入れます。

話しの転換点には違いありませんが、もっと形式的に使われているようです。
ひとつの「様式」と言った方がいいのかもしれません。

 

本来なら「晩秋の候、・・・本日は・・・ありがとうございます。」までが一区切り。
改行して「さて、」とつなげるのが普通です。しかしUさんは
時候のあいさつ▽お礼の後に▽状況説明、さらに▽おわび―とつなげています。
謙虚さのあまり別の要素を2つも入れてしまい「さて」の出番がなくなりました。

 

そこでUさんは、話の転換点としてはわかりやすい5行目に挿入したわけです。
しかしこの段落の末尾は「申し訳ありません」なので、お詫び文になってしまいます。
結局「礼状」とするには型どおり2行目に「さて、」を持ってくるしかありません。
ところがこの段落にも「父に会えなかった」とお詫びに類する一文があるので、
「感謝」で終わることができません。やむなくこの一文を次段落に移動させました。

 

■手紙文の形式について

Uさんの手紙の趣旨は礼状です。しかしそれ以上にミーティングの席上、説明しきれなかった話を改めて説明したいという思いが強い。原文9行目以下の文章ですね。
本来なら礼状にこのような補足はいりません。しかしそれを抜いたらUさんの思いは中途半端で終わってします。だから異質ではあっても、この部分は削れません。
「さて」に類するようなうまい接続詞があればいいのですが。
「ところで、」は使えそうですが、相手への敬意を考えるとどうなんでしょう。
結局、接続詞を省き、1行空白行を入れてみました。

 

「礼状」を完結するなら、空白行で区切りをつけた一連の文章は
「追伸」の形で礼文と切り離してもいいのかもしれません。
ただしそうすると、Uさんの書き方ほど「思い」は伝えにくくなるでしょう。

 

このほか、手紙文ですから形式は覚えていた方がいいので、以下にまとめました。

 

「謹啓(謹んで申し上げます)」に対しては「謹言」または「謹白」で受けます。
謹言・謹白は(謹んで申し上げました)の意味です。
通常のビジネス文書なら使い慣れた「拝啓」「敬具」で十分です。
今回は”より丁重に”という思惑で「謹啓」を使いました。この場合、受けは
「粛啓」「頓首(頭を地につける)」「再拝(2度敬礼)」でもOK。
頭語は1字あけて続けますが、結語は通常、改行して末尾に置き1字あけます。

 

その他の気になる個所に下線を引きました。対応個所をリライト文で確かめてください。

 

最初の下線、プロですから自分で「能力がない」と言い切ってはいけません。
「今更別途」とその後ろも漢字が続くとよみにくいです。ひらがなで十分。
「二十一%」パーセントを表わすのは縦書きでも横書きでも算用数字を使います。
「話に上がった」は「話に出てきた」の方がわかりやすいでしょう。
「さじ加減」は直接的に事実を認めてしまったら具合が悪いですね、
さりとて「実例をあげない」と出し惜しみと思われかねない。
そこで「守秘義務」を持ち出し、言えない理由があることを明確にしました。

 

さいごに敬語、ていねい語のむずかしさについて一言。
「〇〇〇〇していただき」は便利なので、つい多用しがちです。
しかし「いただき」が4つも続くとさすがに”いただけ”ない!
だから「時間をいただき」だけを残し、他は別の言葉に書き換えました。

<4ページに続く⇒⇒⇒

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